ほのおのにっき

マクラ

ほのおのにっき 2018年12月6日

マクラといっても毎晩お世話になっている、あの枕の話ではありません。江戸時代から脈々と受け継がれている日本を代表する伝統芸能のひとつ、落語。「ほのおのにっき」今年9月12日/10月18日掲載に続き、落語ネタ第3弾。今回は、この落語には欠かせないマクラについて触れます。

(落語ネタ第1弾「寄席 PART2」はこちらから)

(落語ネタ第2弾「粋だねぇ!」はこちらから)

 

落語は基本的に、マクラ→本題(演目・ネタ)→落ち(サゲ)で構成されています。

マクラとは、落語家が本題に入る前に話す導入部分のことです。そのいわれは諸説あるようですが、本題の頭につくので枕と言われるようになった。これが私には一番しっくりきます。

いきなり本題には入らず、本題に結びつく小話をしたり、今どきの話題を持ち出したりもします。今では使われなくなった難しい言葉が出てくる演目などでは、その言葉の意味をさりげなく説明することもあります。そのほか、その場の空気をつかむ重要な部分ととらえ、落語家によっては客の反応を探り、その日の演目を決める役割としている人もいます。

いきなり本題に入ると、聞き手は置きざりにされてしまうため、本題に入りやすくするための工夫。つまり、マクラを挟んで調整しているのです。聞き惚れてしまう落語家は、マクラから本題までの入りが継ぎ目なく実に滑らかで、まさに腕の見せどころといえます。

大勢の前で話をする機会が、何かと多い我々の職場。聞き手の心をわしづかみにする話の導入ができれば、きっとプレゼンの成功率も上がるはずです。講習会などで講師を務めることが多くなったら、落語を聞くことをお勧めします。きっといいヒントが見つかることでしょう。